中学校3年生に薦めたい本100冊vol.4 7月

15歳の夏に読む長編小説

読書の醍醐味は
長編小説の読破にあります。
でも、普段それを読み通す
時間の確保は難しいと思います。
だから夏休みは読書に最適なのです。

もっとも
中学校3年生にもなると受験を控え、
それどころではないという
声も聞かれそうですが、
時間は上手にやりくりして
生みだすものです。

中学校3年生の夏休みに薦めたい
9冊を選びました。
あまり厚くない手頃のものから
650頁の分厚い長編小説まで、
それぞれ読み応え十分です。

その1
「白球アフロ」(朝倉宏景)

「俺」・瀬川の所属する
都立高弱小野球部に、ある日
アメリカからの転校生・クリスが
入部してくる。
黒人の父と日本人の母を持つ
クリスは、
身長190cmでアフロヘア。
ショートを守る彼の守備は
超高校級だが、
バッティングは…。

その2
「よろこびの歌」(宮下奈都)

玲が指揮した合唱は
コンクールで
さんざんな結果に終わる。
その1ヶ月後に行われた
マラソン大会で、
玲は一番最後に
ゴールに駆け込む。
そのとき聞こえてきたのは
コンクールで歌った歌。
玲はその歌に、
音楽の本質を見いだす…。

その3
「夜のピクニック」(恩田陸)

全校生徒が
24時間かけて80kmを歩く
高校の伝統行事「歩行祭」。
貴子は特別なこの日に、
自分の中で賭けをした。
それは同じクラスの融に
声を掛けるということ。
二人はお互いに意識し合いながら、
一度も話をしたことがなかった…。

その4
「幕が上がる」(平田オリザ)

さおりの所属する高校演劇部は
いつも地区大会止まり。
3年生になった4月、
演劇強豪校から
転入生がやってくる。
そして新採用の副顧問の先生は
学生演劇の女王だった。
さおりは何かが始まる
予感を感じる…。

その5
「風が強く吹いている」(三浦しをん)

寛政大学四年生のハイジは、
走るフォームの美しい一年生・
走と出会い、即座に入寮させる。
寮生はこれで十人になった。
リーダー格のハイジが
全員を集めて告げたのは、
この十人で箱根駅伝出場を
目指すという
途方もない目標だった…。

その6
「ミーナの行進」(小川洋子)

家庭の事情で岡山の母親と離れ、
大阪芦屋の伯父の家へと
移り住んだ中学1年の「私」。
そこには1つ年下の
従妹・ミーナがいた。
彼女は色白で美しく、
体がか弱く、
カバに乗って学校に通い、
そしていつでも本を愛していた。
ミーナと暮らした1年の年月…。

その7
「穴 HOLES」(サッカー)

無実の罪で
少年たちの矯正キャンプに
放り込まれたスタンリー。
作業内容は砂漠の荒れた大地に
1日1個の穴を掘ること。
彼は辛い日々の中、
ゼロという少年と親しくなる。
ある日、
ゼロがキャンプから脱走し、
行方不明となる…。

その8
「ロボット・イン・ザ・ガーデン」
(インストール)

ある朝、ベンの家の庭に現れた
旧型ロボット・タング。
他のアンドロイドにはない
「何か」を感じたベンは、
造り主を探そうと考える。
妻・エイミーは、そんなベンに
愛想を尽かし、家を出る。
ベンはタングを連れて
アメリカへと渡る…。

その9
「イリュージョン」(R・バック)

遊覧飛行をしながら各地を
転々としているリチャードは、
風変わりな同業者・ドンと出会う。
彼の複葉機は
虫の死骸も付着していなければ、
油の汚れもなく、それどころか
給油の必要さえなかった。
彼は「救世主」を
やめたのだという…。

主人公の年齢としては
6・7だけが中学生で、
1~4は高校生、5は大学生、
8・9は青年です。
やや上の世代の物語を読むことを
考えてセレクトしてみました。
(6は主人公が中学生とはいえ、
相当大人なキャラクターです。
また7は
アメリカの現実離れした世界です。)

読書でなければ体験し得ない世界を
十分に味わって欲しいのです。
ネットもゲームも
LINEも面白いのでしょうが、
読書の世界の面白さに気づけば、
本とのつきあいは一生続くはずです。
中学校3年生の夏に、
ぜひ貴重な読書体験をして欲しいと
願っています。

※最も今年は
 各学校で夏休みが短縮され、
 読書のための時間確保が
 難しいのでしょうけれど。

(2020.6.15)

Mystic Art DesignによるPixabayからの画像

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